日本から米国居住者への贈与 Gift from Japan to U.S. Resident


<日本から米国居住者への贈与 Gift from Japan to U.S. Resident>

 日本に住む親から米国に住む子への贈与は、日本と米国のそれぞれの国で贈与税の対象となるかどうか検討しなければなりません。その際、贈与者と受贈者の国籍や居住者・非居住者の別、財産の所在国、財産の種類などが課税・非課税の決め手となります。

日本国籍がある日本居住者から日本国籍がある米国居住者(グリーンカード、Eビザ、Lビザ、Hビザ等)への、日本の無税贈与枠である基礎控除(110万円)を超える金額の財産の移転は、財産の所在国が日本や米国、あるいは他のどの国であっても、日本の贈与税が必ず課せられます。受贈者が米国籍保持者で、日本国外財産が関わった場合は、日本の贈与税は課せられません。

米国では、贈与税の納税義務者は受贈者(贈与を受けた人)ではなく贈与者(贈与を贈った人)であり、日本とは逆になっています。贈与が米国の贈与税の対象になるかどうかは、贈与された財産の所在国がどこであったか、財産の種類が何であったかによります。まず、贈与税が課せられるのは、財産の所在国が米国であった場合だけであり、日本など米国外であった場合は、納税義務者(贈与者)である日本在住の親は課税対象から外されて、米国贈与税は課税されません。米国国内財産の移転であっても、財産の種類が有形資産であれば課税対象となり、無形資産であれば非課税です。(253)

米国居住者である子が日本の居住者である親から受け取る 110万円の基礎控除を超える贈与は、一定の例外(相続時精算課税制度を利用した贈与)を除いて日本の贈与税の対象となります。その贈与は同時に米国でも贈与税が課せられる可能性があります。贈与者が非居住外国人(日本の親)である場合、米国の贈与税が課せられるのは、米国内資産の移転に限られます。米国外資産の移転は、米国贈与税の課税範囲外です。

米国の非居住外国人(日本の親)が所有している米国国内財産を贈与すると米国の贈与税が発生しますが、ただし、財産の種類を有形資産と無形資産に分類して、有形資産であれば贈与税の対象となり、無形資産であれば非課税となります。有形資産、無形資産の分類は次のとおりです。

①有形資産(課税)

不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等。

②無形資産(非課税)

株式、債券、有価証券、手形、著作券等。

居住者に適用される基礎控除1万4000ドル(2013年、2014年)、税率18%〜40%が、非居住者にも適用されます。贈与者が居住外国人または米国国籍保持者である場合は、課税対象となる財産の種類や所在国に関して、異なる規定が適用されます。(254)

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