日本からの贈与 日米贈与税

 

日本に住む親から米国に住む子への贈与は、日本と米国のそれぞれの国で贈与税の対象となるかどうかを検討しなければなりません。その際、贈与者と受贈者の国籍や居住者・非居住者の別、財産の所在国、財産の種類などが課税・非課税の決め手となります。

日本国籍を保持する日本居住者から受け取る贈与は、受贈者の居住国が外国(米国)であっても、滞在年数が何年であっても、また財産の種類が何であっても、日本の贈与税の課税対象となります。贈与税は暦年課税の無税贈与枠である基礎控除額(150万円)を超える金額に、10%~55%の8段階の税率を掛け合わせて計算します。

米国の贈与税の納税義務者は受贈者(贈与を受けた人)ではなく贈与者(贈与を贈った人)であり、日本とは逆になっています。日本人(非居住外国人)からの贈与が米国の贈与税の対象になるかどうかは、贈与された財産の所在国が米国であったかどうか、財産の種類が有形資産であったか無形資産であったか、によります。まず、贈与税が課せられるのは、財産の所在国が米国であった場合だけであり、日本など米国外であった場合は、納税義務者(贈与者)である日本在住の親は課税対象から外されて、米国贈与税は課税されません。米国国内財産の移転であっても、財産の種類が有形資産(不動産、現金、自動車)であれば課税対象となり、無形資産(株式、債券、有価証券)であれば非課税です。(716)

 

 

親からの仕送りと贈与税

米国在住者が日本の親から生活費や教育費のための仕送りを受けた場合の課税について検討します。親子や兄弟姉妹、夫婦などの間で支払われる仕送りや送金を、生活費・教育費として受け取った場合は、日本、アメリカとも贈与 税の対象となりません。仕送りをする側が子、仕送りを受ける側が親の場合も課税されません。

生活費とは、家賃、水道光熱費、食費、養育費、治療費などの通常の日常生活を営むのに必要な費用のことをいいます。教育費とは、子や孫の学資、教材費、文具費、交通費などの義務教育費に限らず、教育上通常必要と認められるものをいいます。援助を受けた者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して、社会通念上適当と認められる範囲の財産を指します。いくらが常識的な範囲かというのは、その家庭の生活水準や仕送りをする側、される側の生活状況によっても判断が変わってきます。

仕送りが生活費又は教育費に充てられず、預貯金となっている場合、株式や住居の購入に充てられた場合のように、生活費・教育費に充てられなかった部分については贈与税の課税対象となります。婚姻に当たって子が親から受けた金品、親が負担した子の結婚式および披露宴の費用なども、贈与税の課税対象にはなりません。社会通念上相当と認められる範囲内のものに限ります。(711)

米国居住者が海外で受け取った贈与・相続の報告

税法上、米国居住者が非居住外国人 (例えば日本の親) から受け取る国外財産の贈与や相続は、米国の贈与税・遺産税の対象外です。課税対象となるのは、米国内財産の移転に限られます。日本で贈与税・相続税を納めて不動産や預金などの財産を親から受け継いだ受贈者は、申告書フォーム3520 (Receipt of Certain Foreign Gifts) に財産の詳細内容を記入の上、IRS (内国歳入庁) へ報告する義務があります。提出先は、所得税申告書の提出先とは異なります。報告書の提出期限は所得税申告書の提出期限と同じ暦年終了後の4月15日(延長可)です。提出義務者は、海外贈与・相続の受贈者・相続人です。遅延申告の場合、ペナルティーが課せられます。

申告書フォーム3520の記入事項は、次の通りです。

  • 納税者の氏名、納税者(ソーシャル・セキュリティー)番号、住所、配偶者の納税者番号
  • 課税年度内に非居住外国人から受け取った10万ドル超の非課税贈与・相続・遺贈の移転日、財産の内容を、時価$5000 超の財産ごとに記載
  • 外国企業等から受け取った1万4139ドル超の贈与、移転日、贈与者名、同住所、納税者番号、財産の詳細内容、時価
  • 代理人による支払の有無
  • 該当出国者(一定条件に該当する永住権放棄者)から年間贈与非課税額 (1万5000ドル) 超の贈与を受け取った場合、その有無。有は贈与税申告書フォーム709を提出して納税すること。                                                                   (704)

海外贈与・相続の報告

日本で親が亡くなり、米国居住者である子が相続人として財産を受け継いだ場合、日本で相続税が課せられます。親の遺した遺産は日本国内財産だけであり、米国国内財産が含まれていなければ、課税の対象とならないため米国遺産税は発生しません。同様に、日本の親が米国居住者である子に渡す日本財産の贈与は、日本で贈与税の対象となりますが、米国の贈与税は課せられません。このような米国の遺産税・贈与税の対象とならない海外での財産の移転は、それらが海外において課税対象となるかないかに関わりなく、IRS(内国歳入庁)に報告する義務があります。

海外で受け継いだ財産(不動産、金融資産等)は、申告書フォーム3520 (Annual Return To Report Receipt of Certain Foreign Gifts) に詳細を記入の上、IRSへ提出します。提出期限は所得税申告書フォーム1040の提出期限と同じ暦年終了後の4月15日(延長可)であり、提出先はフォーム1040の提出先とは異なるIRSユタ・センターです。提出義務者は、海外贈与・相続の移転を受けた米国籍保持者・居住外国人です。非居住外国人は提出義務がありません。フォーム3520の申告不履行、遅延に対するペナルティーは1万ドルが定められています。

フォーム3520の記入事項は、納税者・配偶者の氏名、納税者番号、住所。非居住外国人から受けた10万ドル超の贈与・相続。5000ドル超の財産ごとに、移転日、財産の内容説明、時価を記載。(680)

 

親からの仕送りと贈与税

米国在住の永住権保持者。親から生活費と教育費の援助を受けています。この送金は贈与税の課税対象になるのではないかという疑問について検討します。親や祖父母から送られてきた送金のうち、通常生活費または教育費として必要と認められる金額については、日本、米国とも贈与税の課税対象にはなりません。

生活費とは、家賃、水道光熱費、食費、養育費、治療費などの通常の日常生活を営むのに必要な費用のことをいいます。教育費とは、子や孫の授業料、教材費、文具費、交通費などで、義務教育費に限らず、教育上通常必要と認められるものをいいます。援助を受けた者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して、社会通念上適当と認められる範囲の財産を指します。生活費、教育費として確実に使用されていれば、特に金額上の制限はありません。

仕送りが生活費、教育費に充てられず、預貯金となっている場合、株式や住居の購入に充てられた場合のように、生活費、教育費に費やされた分については贈与税の課税対象となります。婚姻に当たって子が親から受けた金品、親が負担した子の結婚式および披露宴の費用なども、親の扶養義務の範囲内であれば贈与税の課税対象にはなりません。ただし、親から結婚祝いと称して、車や不動産、あるいは投資資金などまとまった大きな金額のものを送られたりすると、それは常識的な範囲を超えているとして、贈与税の問題が生じます。(674)

配偶者間の贈与

米国では配偶者間の贈与および相続は、贈与税も遺産税も一切課せられることなく非課税で財産移転ができます。税法上、Marital deduction (婚姻控除、配偶者控除と訳される場合もあります。)と呼ばれていて、法的婚姻関係にある夫婦間の財産移転を、生前、死亡時を問わず無制限に税金を課せられることなく行うことができるという規定です。この規定は、財産の贈与および相続を受ける配偶者の国籍が米国である場合にのみ適用され、贈与を与える側、遺産を遺す側の配偶者の国籍が、米国籍保持者であっても永住権保持者であってもかまわないことになっています。

永住権保持者も含めて米国籍以外の外国籍配偶者への贈与については特別の年間非課税額が規定されていて、その金額は2016年14万8000ドル、2017年14万9000ドルです。配偶者以外の人への贈与は、一人につき2016年と2017年1万4000ドルまでが非課税です。年間非課税額はインフレ調整が施されて毎年調整されます。贈与者が米国籍保持者および一部の居住外国人の場合は、上記の年間非課税額を超える贈与を行ったとしても、さらに549万ドルの生涯非課税贈与額の枠を適用することにより、贈与税を支払わずに済ませることができます。非課税贈与額を超える贈与を行った場合は、40%の税率で贈与税が課せられます。(645)

日米の贈与税

米国居住者である子が日本の居住者である親から贈与を受け取り、その金額が基礎控除の110万円を超えている場合、日本の贈与税を避けることはできません。その際納税義務を負うのは受贈者(贈与を受け取る人)でになります。日本からの贈与が同時に米国でも贈与税の対象となる場合があります。米国では日本と逆に贈与者(贈与をあげる人)が納税義務を負います。贈与者が米国税法上、非居住外国人(日本の親)である場合、米国の贈与税が発生するのは、米国国内財産の移転だけに限られます。日本の親が移転する財産のうち米国国外財産は、米国贈与税の課税対象外です。

米国国内財産とは、移転の時点で財産の所在が米国内にある財産をいいます。米国国内財産のうち、有形資産として分類される財産が米国贈与税の対象となり、無形資産と分類される財産は非課税となります。有形資産、無形資産の分類は次のとおりです。

①有形資産(課税)

不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等。

②無形資産(非課税)

株式、債券、有価証券、手形、著作券等。

有形資産・無形資産の区分は贈与税にだけ使われ、遺産税の課税上適用されません。(578)

海外で受け取った贈与・相続の報告

米国居住者が非居住外国人 (例えば日本の親) から受け取る国外財産の贈与や相続には、米国の贈与税・遺産税は課税されません。課税対象となるのは、米国内にある財産の移転に限られます。米国での課税が生じなくても、海外で贈与・相続を受けたことをIRS (内国歳入庁)へ報告しなければなりません。日本で一定金額を超える不動産や預金などの財産を親から受け継いで贈与税や相続税を納めた受贈者が米国居住者である場合、申告書フォーム3520 (Receipt of Certain Foreign Gifts) に財産の詳細内容を記入の上、

IRS へ報告する義務があります。提出先は、所得税申告書の提出先とは異なり、ユタ州にあるIRSセンターです。報告書の提出期限は、所得税申告書の提出期限と同じ暦年終了後の4月15日(延長可)です。提出義務者は、海外贈与・相続の受贈者・相続人です。遅延申告の場合、ペナルティーが課せられます。

申告書フォーム3520の記入事項は、次の通りです。

  • 納税者の氏名、ソーシャル・セキュリティー番号または納税者番号、住所。
  • 課税年度内に非居住外国人から受け取った10万ドル超の非課税贈与・相続・遺贈の移転日、贈与者・被相続人氏名、財産の内容を、時価$5000 超の財産ごとに記載。
  • 外国企業等から受け取った1万5358ドル超(2014年)の贈与、移転日、贈与者名、同住所、納税者番号、財産の詳細内容、時価。(543)

 

親の送金は贈与税がかかるか

米国在住の永住権保持者。親から生活費と教育費の援助を受けています。この送金は贈与税の課税対象になるのではないかという疑問について検討します。親や祖父母から送られてきた送金のうち、通常生活費又は教育費として必要と認められる金額については、日本、米国とも贈与税の課税対象にはなりません。

生活費とは、家賃、水道光熱費、食費、養育費、治療費などの通常の日常生活を営むのに必要な費用のことをいいます。教育費とは、子や孫の学資、教材費、文具費、交通費などの義務教育費に限らず、教育上通常必要と認められるものをいいます。援助を受けた者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して、社会通念上適当と認められる範囲の財産を指します。

仕送りが生活費又は教育費に充てられず、預貯金となっている場合、株式や住居の購入に充てられた場合のように、生活費・教育費に充てられなかった部分については贈与税の課税対象となります。婚姻に当たって子が親から受けた金品、親が負担した子の結婚式および披露宴の費用なども、贈与税の課税対象にはなりません。(509)

年間非課税贈与額

年間非課税贈与額> 

2013年現在、日本の贈与税を課せられることなく贈与を受け取れる金額は、年間一人110万円の基礎控除額までです。受贈者が米国居住者(日本の非居住者)である場合も同じ非課税額が適用されます。年間一人110万円の基礎控除額を超えた金額については贈与税が課税されます。日本の贈与税の納税義務者は、受贈者であるため、贈与を受け取った米国在住者が期限日である年明けの3月15日までに贈与税の申告・納税を行う必要があります。

米国の税法上、贈与税の納税義務者は、日本とは逆に受贈者ではなく贈与者となっています。非居住外国人(父)から米国居住者(子)への贈与は、米国の国外財産がかかわる場合、連邦贈与税は生じません。すなわち、日本の父名義の銀行口座から米国の子名義の銀行口座に向けて資金が振り込まれた時点で、非居住外国人が国外財産を贈与したこととなり、そうした贈与は米国贈与税の対象とはなりません。非居住外国人が行う財産移転が連邦贈与税の対象となるのは国内財産のうち有形資産(不動産、現金、宝石、貴金属、自動車、美術品など)が関わる場合だけです。財産移転が贈与税の対象になる場合、年間贈与の非課税額として受贈者1人につき2013年1万4000ドル(インフレ調整で毎年変更)の規定を利用することができます。(452)

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