プロベート手続きと合有所有財産(Joint Tenancy) 


米国で財産を遺して人が亡くなると、遺産は、一旦、プロベート(検認)裁判所の監督下に置かれます。原則として遺産を引き渡すためには、プロベート手続きを経る必要があるためです。遺言がある場合とない場合とでは手続きに違いがあり、費やされる時間も6ヵ月ないし3年を必要とします。プロベート手続きが長引けば、弁護士費用が大幅に増えることを覚悟しなければなりません。

 

プロベート手続きを経ることなく財産を相続人に引き渡すことができれば、時間と費用の節約になります。その一方法が、資産の所有形態を合有所有(Joint Tenancy)にすることです。合有所有者の一人の死亡によって相続が発生した場合、生き残った方の合有所有者が自動的にその持分を継承できます。この方法は、プロベート手続きを避ける手段として、銀行口座、不動産、株などの様々な資産について広く用いられています。資産を合有所有する者は夫婦に限定されておらず、夫婦以外の2名以上の複数名で用いることも可能です。プロベート手続きを回避しても、必ずしも遺産税の回避にはつながらないことにご注意ください。

 

合有所有財産の設定にあたって拠出した資金と、その対価として取得した持分が一致しない場合には、自己の持分に応じた以上の資金を拠出した者から、自己の持分に応じた資金を拠出していない者に対する贈与として、例えば親から子への贈与として、米国においても日本においても贈与税の課税の対象となることに注目してください。(471)

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