特別受益者の相続分


故人の財産形成に貢献した人に相続加算される「寄与分制度」とは逆に、生前に故人から特別に受け取った財産の利益分を相続から減算調整することを「特別受益制度」といいます。例えば、父親の生前、長男は住宅購入資金の援助を受けたとします。父親の死後、相続人である長男と次男が残った財産を法定相続分通りに遺産分配すると不公平が生じます。特定の子どもだけ、独立開業の際資金を出してもらった、結婚の際持参金や支度金をだしてもらった、留学費用をだしてもらったなどの場合も、相続の前渡しを受けた特別受益者と見なされます。

このような不公平をできるだけ少なくするように定められたのが特別受益制度であり、故人から特別な財産分与(生前贈与)による利益を受けた人のことを「特別受益者」といいます。財産的利益を遺産額に加算した金額を法定相続分で配分した後、相続分からその財産的利益を差し引いて、特別受益者の相続分とします。

財産的利益(特別受益)がどの程度のものか、どんな場合に相当するのか、寄与分制度と同様、はっきりした基準はありません。あくまでも、相続人同士の話し合いで決めることです。話し合いで決着がつかないときは、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。(589)

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