養子縁組によって生じる問題


日本で家業を営んでいる夫婦の家族は、娘一人だけです。家業の跡継ぎになる息子がいなかったため、一人娘と結婚した婿を養子にして家業を継いでもらうことにしました。婿養子と娘の間には子が出来ませんでした。養夫婦と婿とは養親子ですから安泰と思っていたところ、突然養父が亡くなり相続が発生しました。相続人は、妻(母)と娘、そして婿養子の3人です。特に問題もなく法定割合(養母50%、娘25%、婿養子25%)で財産を分け合い、家業は継続されました。しかしその直後、今度は娘が亡くなりました。娘の遺産(25%分)は、娘の配偶者であり、家業を受け継ぐ婿養子が全額受け取りました。婿養子の財産の持分は50%(25%+25%=50%)となりました。

しばらくして、今度は婿養子も亡くなりました。ここで問題になるのが、婿養子の遺産は、誰が相続するかということです。婿養子の配偶者(娘)は死亡しており、子供もいません。すると相続するのは親になります。婿養子には実父母と養母がいます。つまり、相続人は、実父母(33.3%)と養母(16.7 %)ということになります。

養親は家業や財産を守ってもらえるようにするため、娘の夫を養子にしたのに、他人の家系に財産の一部が渡ってしまいます。養子縁組をした場合、養親と実親両方の相続権を持つことになるからです。養子縁組では、こういった望んでいなかった思いがけないことが起こる可能性もあるので、気をつける必要があります。(597)

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