双方居住者と外国税額控除


米国の永住権保持者が永住権を放棄せずに日本に住んでいる場合、所得税法上、日本の居住者であると同時に米国でも居住者となります。同一人物が二つの国で居住者に該当することを双方居住者(Dual Resident)と呼びます。日米両国とも、居住者は毎年全世界所得を報告して確定申告をする義務があります。日本に帰国後、永住権保持者の収入は日本だけであり、米国では収入がないため連邦税の申告はしなくてもいいと考えるのは正しくありません。

既に一方の国で課税された所得を再び他方の国で申告する際、必ず二重課税が発生するとは限りません。それは税法上、二重課税防止措置が海外在住者に与えられているためです。二重課税防止措置とは、「海外役務所得控除」と「外国税額控除」を指します。「海外役務所得控除」は一律10万4100ドル(2018年)を特別所得控除の形で所得から差し引いて課税免除とする規定です。フォーム2555に必要事項を記入して確定申告書フォーム1040に添付提出します。この控除の金額は、毎年インフレ調整されて増額します。

「外国税額控除」は一方の国で既に課税された所得を他方の国で再度報告することによって生じる税金を税額控除の形で合理的な枠の範囲内で課税免除にする規定です。双方の国の源泉所得に所得税が課せられた場合、それぞれの相手国で外国税額控除を適用することによる減税が可能となります。(690)

 

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