違法滞在者の税務


入国後米国内に滞在期限を超えて違法滞在している外国人が働いて得る所得、すなわち違法就労所得の課税について検討します。

税法上、就労所得を合法と違法に区分けすることはなされていません。IRSはすべての所得を報告して税金を納めることを想定しています。所得が雇用主の簿外取引の支払いであるためフォームW-2やフォーム1099などの調書が発行されなくても、調書が正しく発行されたならば記載される金額を申告書に報告する義務があります。合法時に取得したソーシャルセキュリティー番号があれば、その番号を使います。番号を持っていない場合は、個人納税者番号(ITIN)を申請取得して使います。その場合は、社会保障制度への加入は許されず、ソーシャルセキュリティー税とメディケア税の支払いはできません。

違法就労者は、税務申告書上の報告内容が手がかりとなって移民局による手入れにつながるのではないかと懸念するでしょう。しかし、連邦税法上、納税者が税務申告書で報告した情報を、刑法犯罪に関与している場合を除いて、国土安全保障省(移民局)を含む政府の他機関へIRSが提供することは禁じられています(内国歳入法7213条)。従って犯罪に手を染めていないのであれば、税務申告書から違法滞在者が摘発されたり強制送還されたりすることはありません。IRSにとっては、すべての所得にかかる税金を徴収することの方が重要課題だからです。グリーンカード申請者は、違法年度分を含む過去の年度の確定申告書の提出を求められるため、留意が必要です。(617)

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