遺産分割協議(3)――「寄与分制度」と「特別受益制度」


被相続人の財産の維持、形成、および増加に特別に寄与・貢献してきた法定相続人を「特別寄与者」として認め、遺産の分配にあたり「寄与分」として法定相続分を超える額の財産を取得できるように協議で計らうことを「寄与分制度」といいます。例えば、長男が故人を助けて事業の発展に寄与してきた場合です。寄与分は、特別寄与者の当然の権利として認められるのではなく、相続人同士の協議で認められるもので、その内容や程度についても協議の中で決められます。

「寄与分制度」とは逆に、故人からの生前贈与や遺言による財産の贈与が与えられたため、その法定相続人が既に相続財産を受け取った者として扱われることを「特別受益制度」といいます。例えば、父親の生前、住宅購入資金の援助を受けると、特別な相続分の前渡しを受けた「特別受益者」とされ、その分が相続分から差し引かれます。特別受益がどの程度のものか、どんな場合に相当するのか、寄与分制度と同様、明確な客観的基準はなく、あくまでも相続人同士の話し合いで決めることです。(649)

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