特別縁故者への財産分与


配偶者や子、親、兄弟姉妹など、日本の法定相続人がいないまま、遺言も遺さずに死亡した人の遺産の行方は、どうなるのでしょうか。結論から言うと、遺産は最終的には国庫に帰属すること (民法959条) になります。しかし、ケースによっては国がもらい受けるよりも、故人と生計を同じくしていた者や療養看護に努めた者、その他特別の縁故のあった者に遺産を引き継がせることが、故人に対するその縁故者の貢献に報いることであり、故人の気持ちにも反しないと認められる場合は、その人へ遺産の全部または一部の分与を認める「特別縁故者への財産分与」の制度があります。

それはまず、国によって任命された相続財産管理人が相続人の有無を捜索確認し、故人の債務の弁済など、遺産に関する必要な処分をすべて済ませます。その後、家庭裁判所が、遺産分与の申立人に対し申し立ての理由を具体的証拠などによって厳しく審理した上で、特別縁故者として認定の審判が下れば、遺産が分与されます。特別縁故者の財産分与の申立てが有効になるためには、相続人捜索の公告期間の満了後3ヵ月以内に申請する必要があります。家庭裁判所の調査官の面接その他の調査を経て、家庭裁判所から特別縁故者であることが認められなければなりません。

内縁の妻、事実上の養親子、借地人に対する地主、会社の使用人に対する社長、実の親子や夫婦並みの隣近所の住人など、精神的、経済的に緊密な関係にある者が、広く特別縁故者にあたると解されます。(596)

Copyright © 2014 Joe Oshima, CPA All Rights Reserved