日本の相続㉟負担付遺贈


遺言により人に財産を譲ることを遺贈と言います。一般的に遺贈は無償が建前であり、受遺者には代償の支払義務はありません。しかし、遺言者が受遺者に対して代賞の支払い(反対給付)を義務付ける負担付遺贈をすることもできます。遺贈を受けることを承認した受遺者は、反対給付の負担を履行する義務を負います(民法1002条)。

例えば、友人に財産の一部を遺贈する代わりに、遺言者の未成年の息子が大學を卒業するまで学費の支払いの面倒を見てもらいたいという反対給付の条件を付けたとします。友人が遺贈を受け取った場合には、遺族の学費の面倒を見る義務を負います。ただし、受遺者の負担は、遺贈された財産の価格を超えない範囲内です。遺増を受け取りながら負担を履行しない(学費を払わない)場合、相続人または遺言執行者は相当の期間を定めて履行を催告でき、履行がないときは遺言の取消しを家庭裁判所に請求できます。

受遺者が遺贈を放棄した場合、負担履行義務がないことは言うまでもありません。その場合、負担の利益を受けるべき者(息子)は自ら受益者になることができます。ただし、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従わなければなりません。(781)

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