生命保険の非課税額

生命保険の死亡給付金のうち一定金額は非課税となります。残された家族の大切な生活保障に対して相続税を課すのは酷であるとの見地から設けられた制度です。非課税となる生命保険金の金額は、法定相続人一人について500万円です。相続放棄をした法定相続人がいる場合は、その分も頭数に加えて非課税額を計算します。例えば、配偶者と子供2人が遺された場合、法定相続人は3人ですから1500万円までの生命保険金は非課税となります。仮に子供のうち1人が相続放棄していたとしても、非課税額は1500万円のままです。

相続人が相続または遺贈によって生命保険金を取得した場合は非課税額が適用されますが、相続人以外の人が遺贈として受け取る生命保険金には非課税額は認められません。

受け取った生命保険金の金額が非課税額を超えた場合は、それぞれの相続人が受け取った金額に応じて各人の非課税金額が決められます。相続人の中に実子と養子がいると養子は1人まで認められ、実子がいなければ養子は2人まで認められるという具合に、非課税額の計算上、養子の数に制限が加えられます。(657)

死亡退職金

被相続人の死亡の結果支払われる死亡退職金の取り扱いについて検討します。被相続人の死亡後3年以内に確定した死亡退職金は、生命保険金と同様、相続財産とみなされて相続税が課されます。死亡後3年経過後に支給が確定した死亡退職金は、相続財産とならず遺族の一時所得として所得税と住民税の対象となります。

死亡退職金は、法定相続人一人について500万円が非課税額として認められます。相続放棄をした法定相続人がいる場合は、その分も頭数に加えて非課税額を計算します。例えば、配偶者と子供2人が遺された場合、法定相続人は3人ですから1500万円までの死亡退職金は非課税となります。仮に子供のうち1人が相続放棄していたとしても、非課税額は1500万円のままです。受け取った死亡退職金の金額が非課税額を超えた場合は、それぞれの相続人が受け取った金額に応じて各人の非課税額が決められます。

相続人が相続または遺贈によって死亡退職金を取得した場合は非課税額が適用されますが、相続人以外の人が遺贈として受け取る死亡退職金には非課税額は認められません。法定相続人の中に被相続人の養子がいる場合、養子の数が制限されます。(658)

日本の相続税129-相続 生命保険金の評価

<日本の相続(129)-生命保険金の評価>

生命保険契約は、契約者(多くの場合、保険料の負担者)、被保険者(保険をかけられている人)、受取人(保険金を受け取る人)の三者で形成されます。通常、契約者と被保険者が同一人で被相続人がなり、受取人は相続人というケースが多くあります。

生命保険が見なし相続財産とされて相続税の対象となる場合、生命保険金の金額は、法定相続人一人について500万円が非課税となります。例えば、配偶者と子供3人が遺された場合、法定相続人は4人ですから2000万円までの生命保険金は非課税となります。生命保険金の評価額は、額面から2000万円分を減額した金額となります。相続放棄をした法定相続人がいる場合は、その分も頭数に加えて非課税額を計算します。

相続人が相続または遺贈によって生命保険金を取得した場合は非課税額が適用されますが、相続人以外の人が遺贈として受け取る生命保険金には非課税額は認められません。相続人の中に実子と養子がいると養子は1人まで認められ、実子がいなければ養子は2人まで認められるという具合に、非課税額の計算上、養子の数に制限が加えられます。(234)

日本の相続税128-相続 死亡保険金による納税対策

<日本の相続(128)-死亡保険金による納税対策>

 財産が増えると、当然相続税も増えます。例えば4,000万円の財産増加に対して、相続税は800万円増えると仮定します。二通りの異なる財産増加方法が考えられます。第一の方法は、所有している土地の路線価が以前より上がって相続税評価額が4,000万円増えたケースです。第二の方法は、新たに生命保険に加入して課税対象の死亡保険金が4,000万円増えたケースです。どちらも相続財産が4,000万円増えて支払う相続税も800万円増え、同じように見えます。

しかし問題は、増えた相続財産4,000万円の中身です。第一の方法は、土地の相続税評価額が4,000万円増加し、これにより増えた相続税800万円は簡単に土地で支払うことはできません。相続税は原則金銭払いですから、定期預金を解約して支払うか、土地を処分してその売却代金で払うか、どうしても払えない時は物納にします。いずれにしても、増えた800万円の納税には苦慮することになります。

一方、第二の方法は、死亡保険金が4,000万円増え、新たに800万円の相続税が増えても、その800万円は増えた死亡保険金で支払うことができます。納税後は3,200万円の現金が手元に残り、納税資金や生活費に活用できます。生命保険の加入は「相続税が増えるから損だ」とは言えないことがわかります。(233)

日本の相続税127-相続 相続税の納税対策

<日本の相続(127)-相続税の納税対策>

 相続税はどんなに多額でも、相続発生後10か月以内に現金で一括納付することが原則です。現金で一度に払えない場合に限って、延納(国への分割払い)が認められます。ただし、利息(利子税)が付きますし、担保も必要です。一括納付や延納などの金銭納付ができない場合には、納付できない税額について相続財産そのもので納める方法である「物納」が認められます。ただし、国が管理処分しやすい財産でないと物納は認められません。

相続財産が多額な場合には、相続税対策により相続税をゼロにすることは難しく、その場合には対策を続けながら、事前に万全の準備をして相続税の納税方法を考えておくことが必要です。また、相続財産の大部分が不動産など換金性の低い財産である場合には、財産があるといってもすぐに相続税を払えるとは限りません。

その際必要なのが、納税対策です。例えば、現金で一括納付できるように生命保険に加入することです。相続税が高額となる場合には、生命保険だけで納税を全額済ませることは不可能であることは言うまでもありません。また、物納したい土地について物納が認められるための条件を整えておくことです。すなわち、隣地との境界線をはっきりさせておくこと、物納の際必要とする境界線に関する隣地所有者の印鑑取得のため隣地所有者との友好関係を築いておくことなどです。(232)

日本の相続税126-相続 借地権・借家権の相続

<日本の相続(126)-借地権・借家権の相続>

 借地人や借家人が死亡すると、相続財産の中に借地権や借家権が含まれ、相続人がそれらの権利を引き継ぎます。引き継ぎ後、相続人が借地人や借家人となります。借地借家法上は、借地権とは建物を建てる目的の、賃借権または地上権のことをいいます。借地権とは、建物の賃借権のことです。無償で土地などを借りている場合の権利は使用借権と言われ、相続財産には含まれません。

契約した本人が死亡したことを理由として、相続人に対して地主や家主が明渡しを求めてくることがあります。しかし、相続には地主や家主の承諾などは不要ですから、明渡しが請求されてもその請求を拒否することができます。名義書換料の請求があっても支払う必要はありません。

公営住宅の場合は例外で、その使用権(借家権)は相続できません。公営住宅の使用権は公法上のもので、相続を認めると入居資格を満たさない相続人が公営住宅に入居できることになるからです。最高裁は平成2年10月18日の判決で、公営住宅の使用権は相続財産に含まれないと判断しました。ただし、死亡した入居者の同居の親族は各地方自治体の条例に従って手続をすることで、使用権の承継が認められるのが普通です。(231)

日本の相続税125-相続 借地権の評価

<日本の相続(125)-借地権の評価>

 人から土地を借りて建物を建てて地代を支払っている借地人には、借地権があります。借地権を持つ人は、その権利が財産として評価されます。借地人の家が相続された場合、借地権も相続税のかかる財産として相続人に引き継がれます。借地借家法上は、借地権とは建物を建てる目的の、賃借権か地上権のことをいいます。借地人は借地借家法で守られているため、土地の所有者が自分のために使いたいと思っても、一方的に立ち退きを要求したり自由に使ったりすることはできません。借地権は、「自用地の評価額(通常価額)掛ける借地権割合」の金額で評価します。

借地人が建物を自宅として使っていれば、借地権の評価は宅地の通常価額に借地権割合を乗じた金額となります。その家屋を人に貸していれば借地権の価値は低くなり、当然その評価も低くなります。借地権割合は地域ごとに異なり、地価の高い地域ほど借地権割合も高く、商業地で8~9割、都市住宅地で6~7割、その他地域で3~5割です。借地権割合は、路線価図や評価倍率表に表示されていて、路線価の右側にアルファベットで示され、Aは90%、Bは80%、Cは10%、Dは60%%、Eは50%、Fは40%、Gは30%を意味します。(230)

日本の相続税124-相続 貸宅地の評価減

<日本の相続(124)-貸宅地の評価減>

第三者に貸し付けていて、その第三者(借地人)の家の敷地となっている土地のことを「貸宅地」といいます。同じ広さの貸宅地と更地(自用地)を同時に売りに出した場合、自用地の方が高く売れます。人の家が建っている土地を更地にするには、交渉をして立退料を支払って立ち退いてもらう必要があるため、貸宅地は更地に比べて低い値段でなければ売れません。相続税の財産評価においても同じような考え方が用いられて、貸宅地は評価が下がります。。

貸宅地は、自分の土地でありながら自由に使えず借地権が設定されているため、自用地に比べて税法上の評価額も低くなります。借地権とは、土地の所有者から一方的に立ち退きを要求されると困るので、そうならないよう借地人を守るために作られた権利です。貸宅地は、「自用地の評価額 - 借地権の評価額」の金額によって評価します。

借地権の評価額は地域によって異なりますが、自用地の評価額の60%~70%となっているところが多いです。従って、貸宅地の評価額は自用地の評価額の30%~40%となります。(124)

日本の相続税123-相続 貸家建付地の評価減

<日本の相続(123)-貸家建付地の評価減>

 アパートや賃貸マンションが建っている土地のことを「貸家建付地」といいます。自分の土地の上に自分が建物を建てているわけですから、敷地も家屋も地主の所有財産です。一旦アパート・賃貸マンションとして借家人が入居すると、相手は借地借家法という法律で守られているため、その土地は地主の自由にはなりません。建物を取り壊して更地にしようと思ったら、アパートの入居者に立ち退いてもらわなければなりません。根気よく交渉を続けなければなりませんし、立退料を支払わなければならないかもしれません。

貸家建付地は、何の権利も付着していない自分の自由になる更地(自用地)に比べて利用が制限される分、相続税評価額の減額が認められます。これが「貸家建付地の評価減」であり、土地を自用地にしておくよりはアパートやマンションを建てる方が相続税の節税という観点から有利なわけです。

貸家建付地の評価は、原則として自用地の評価から、借家人の有する敷地に対する権利の価額を差し引いて計算します。評価減割合は、「借地権割合 x 借家権割合」であり、実際に計算すると自用地と比べて相続税が15%ないし35%ほど低く計算されます。(228)

日本の相続税122-相続 空地(更地)の評価

<日本の相続(122)-空地(更地)の評価>

 相続した土地の評価は、空地(更地)である場合と、居住用、事業用、貸宅地用などの建物が建っている場合とで異なり、建物が建っていると評価額を低くできます。空地(更地)は、「路線価方式」または「倍率方式」のどちらかの方式によって評価します。評価方式は自分で選択するのではなく、その宅地の所在地によってあらかじめ使う方式か決められています。路線価方式は、市街地にある宅地の評価方法です。その土地が面している不特定多数の人の通行に使われている道路や水路に付けられた標準価格を基準にして、土地によって異なる形状の補正を加えて評価します。税務署や市区町村役場に備え付けられている「路線価図」で路線価を確認することができます。路線価は地価公示価格の8割程度を目処に、毎年国税局長によって定められます。

倍率方式は、郊外や農村部など路線価が定められていない市街地以外の地域にある宅地の評価方法です。固定資産税の評価額に、国税局長によって地域ごとに定められた一定の割合(評価倍率)、例えば1.0倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍などを掛け合わせて評価します。固定資産税評価額および評価倍率は、税務署や市区町村役場の固定資産税台帳で確認することができます。また、国税庁ホームページの「路線価図等閲覧コーナー」でも確認できます。(227)

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