収入のある扶養家族(子)の申告

まだ親に養われている扶養家族(子)が働いて勤労所得を得た場合の申告書の取り扱いについ検討します。

所得は一人ずつ別々に申告するのであって、扶養家族が働いて得た収入と、親の収入を合算して申告する

ということはありません。親は子の経済的負担を全面的に担っていることから、申告書上毎年、子一人について4000ドル(2016年は4050ドル)の扶養控除が認められます。

 

収入のあった子は、自分名義の申告書を作成してして税金を計算しますが、その際、人的控除(パーソナル・イグゼンプション)と概算額控除(スタンダード・ディダクション)に制限が加えられます。本人分の人的控除のことを基礎控除と呼び、扶養家族分の人的控除のことを扶養控除と呼びますが、親の申告書上、既に一度扶養控除をとっているため、子は本人の申告書上基礎控除が認められません。概算額控除については、次の(1)、(2)のうち多い方の金額、ただし最高6300ドルの控除が認められます。

(1)1150ドル、または、

(2)350ドルと勤労所得の合計額。

 

子が、利子、配当、キャピタル・ゲインなどの投資所得を得た場合は、親の最高税率で所得税が課せられます。(570)

扶養控除の条件

連邦所得税の計算過程で、所得から差し引くことが認められる控除のひとつに扶養控除があります。扶養家族一人につき2013年3900ドル、2014年3950ドルの控除が認められるためには、家族(配偶者を除く)は適格子女あるいは適格親族の条件を満たす必要があります。条件として、①親族条件、②年齢条件、③同居世帯員条件、④扶養条件、⑤総所得条件、⑥市民・居住者条件、⑦合算申告条件があります。

適格子女とは、19歳(学生は23歳)以下の子、養子、孫、兄弟姉妹、甥、姪で、学業や病気による一時的不在を除いて1年のうち6ヵ月以上納税者と同居していて、生活維持費の自己供給率が半分以下であることという条件を満たす者のことです。適格親族とは、年齢に関係なく三親等以内の親族または非親族同居人で、生活維持費の半額以上を納税者が供給していて、本人の収入が扶養控除額未満であるという条件を満たす者のことです。適格子女、または、適格親族として扶養控除が認められるためには、ソーシャル・セキュリティー番号や個人納税者番号(ITIN)を取得した米国市民または居住外国人でなければなりません。

高額所得者は人的控除の全額が認められず、所得増加に伴う段階的控除削減の対象となります。(463)

社会人になった子の扶養控除 Exemption of Graduated Dependent

<社会人になった子の扶養控除 Exemption of Graduated Dependent

親の申告書上、子の扶養控除を取ってきましたが、その子が大学を卒業して就職した場合の扶養控除の取り扱いについて考えてみます。子が社会人として働き始めて経済的自立を果たすと、多くの場合、親はその子の扶養控除を取れなくなります。

12月31日現在、扶養控除が認められるための適格子女としての5条件をすべて満たしている場合、親はその年度について扶養控除の申告をすることができます。

(1) 扶養条件:親が子の年間生活維持費の50%以上を供給していること。
(2) 総所得条件:23歳超の子の場合、年間総所得が扶養控除額(2014年3950ドル)未満でなければならない。

(3) 親族・世帯員条件:3親等以内の血縁関係または姻戚関係の親族であること。
(4) 市民・居住者条件:子は、米国市民または居住者であること。
(5) 合算申告条件:子が既婚の場合、その子が配偶者と夫婦合算申告(Joint return)で申告していないこと。

大学を卒業した年度に就職して社会人となった子が12月31日現在24歳に達していて、年収が3900ドル(2013年)を超えている場合、親は子の扶養控除を取れません。23歳以下の子がフルタイムの学生でそれほど給与が高くなく、まだ親の援助を受けているのであれば、親の申告書上、扶養控除の申告ができます。その際、子は自分の申告書上、所得から自分の人的控除(基礎控除)を取ることはできません。フルタイムの学生の定義は、年間のうち足掛け5ヵ月以上学生の身分であることです。(456)

税額控除 扶養税額控除 Child Tax Credit

<税額控除 扶養税額控除 Child Tax Credit>

12月31日現在、17歳未満の扶養家族一人につき1000ドルの税額控除が認められます。扶養家族とは扶養控除が認められるための親族・世帯員条件、扶養条件、総所得条件、市民・居住者条件、合算申告条件5条件を満たした家族ことです。扶養税額控除は、扶養控除 (2013年3,900ドル、2014年3,950ドル) (所得控除)に加えて認められます。ただし、調整総所得が夫婦合算申告110,000ドル、独身75,000ドル、夫婦個別申告55,000ドルを超えると段階的減額の対象となります。すなわち、高額所得者は、上記の調整総所得額を1000ドル超過するごとに税額控除が50ドルずつ減額します。

税額控除計算用のワークシートでは、扶養税額控除は所得税の金額までを限度額とします。限度額が1000ドル以下で、一定条件を満たした場合は、限度額を超える部分の税額控除は税金の還付金として取り扱われます。(82)

人的控除・扶養控除(3)扶養条件 Support Test

<人的控除・扶養控除(3扶養条件 Support Test>

 扶養条件は、扶養家族として認められるための五条件の一つです。納税者が、被扶養者の年間生活維持費の半額以上を供給している必要があります。納税者が被扶養者の年間生活維持費の10%以上を供給し、他の扶養者との合計供給率が50%超となる場合、共同扶養契約の合意に定められた扶養者が扶養控除の権利を有することになります。

離婚・別居の場合は、通常、子供の養育保護に実際により深く関わりを持つ側の親が、扶養控除の権利を有します。権利放棄宣言書に署名することにより、実際に養育保護に携わらない側の親に扶養控除の権利を移すこともできます。

(例)25歳の子が大学院の学生です。20,000ドルの生活費のうち親が12,000ドル、子がアルバイトで8,000ドルを支払い、10,000ドルの授業料はスカラシップでまかなっています。スカラシップは生活維持費に数えられません。したがって、年間生活維持費は20,000ドルであり、60%を親が供給していることになり、親の申告書上、子の扶養控除を取ることが認められます。(77)

人的控除・扶養控除(6)合算申告条件 Joint Return Test

<人的控除・扶養控除(6合算申告条件 Joint Return Test>

 合算申告条件は、扶養家族として認められるための五条件の一つです。被扶養者が既婚者の場合、その被扶養者が夫婦合算申告(ジョイント・リターン)で確定申告をしていないことを求められます。たとえば、グリーンカード保持者の娘が結婚していて殆ど収入がないため生活維持費の半分以上が親から供給されている場合、その娘が夫と夫婦合算申告で確定申告をしていなければ、扶養控除の五条件のすべてを満たしているため、親は娘の扶養控除を取ることができます。

扶養控除が認められるためには、扶養家族のソーシャル・セキュリティー番号、または、個人納税者番号を確定申告書に記入する必要があります。9/11以降、ソーシャル・セキュリティー番号はアメリカ市民、グリーンカード保持者、就労ビザ所有の外国人にだけに発行されるようになりました。配偶者や扶養家族などのソーシャル・セキュリティー番号を取得できない外国人は、個人納税者番号を取得しなければなりません。配偶者控除、扶養控除などを含む確定申告書に個人納税者番号の申請書フォームW-7を添付してIRSへ提出すると番号を取得できます。(80)

人的控除・扶養控除(5)市民・居住者条件 Citizenship Test

<人的控除・扶養控除(5市民・居住者条件 Citizenship Test>

市民・居住者条件は、扶養家族として認められるための五条件の一つです。被扶養者は、年度の一部あるいは一年中、米国市民または居住者でなければなりません。居住者とは、内国歳入法第7701(b)条の「実質的滞在条件」を満たす外国人で、グリーンカード保持者、もしくは一定日数以上滞在する就労可能ビザ保持者のことです。

(例1)親はアメリカに住んで働いていますが、日本に子を残してきました。実際には仕送りで子を全面的に扶養していたとしても、その子は非居住外国人であり「市民・居住者条件」を満たしていないため、扶養控除は認められません。子がアメリカ生まれで米国籍を持っていれば、たとえ日本に住んでいても扶養控除が認められます。

(例2)子は親と一緒にアメリカに住んでいて、Fビザでアメリカの大学に通っています。Fビザ保持者は「実質的滞在条件」の適用上除外個人であり、滞在日数に関わりなく非居住外国人とされます。「市民・居住者条件」を満たしていないため、厳密な意味で扶養控除は認められません。子がE、Lビザの家族ビザの場合は、扶養控除が認められます。(79)

人的控除・扶養控除(4)総所得条件 Income Test

<人的控除・扶養控除(4総所得条件 Income Test>

 総所得条件は、扶養家族として認められるための五条件の一つです。被扶養者の年間総所得が、その年度の扶養控除額未満であること、すなわち2005年は3200ドル未満でなければなりません。ただし、被扶養者が納税者の子供で一定年齢以下ある場合は、その子供の年間総所得が3200ドル以上であってもかまいません。一定年齢とは、12月31日現在18歳以下、または、フルタイムの学生である場合は23歳以下を指します。年間総所得とは、被扶養者が連邦所得税の申告をした場合に報告する総所得のことで、非課税所得やギフトを含みません。

(例) 23歳の子供が大学を卒業して就職し、9月から働き始めました。親の申告書上、扶養控除を取れるか検討する必要があります。年間のうち足掛け5ヵ月以上の通学がフルタイムの定義であるため、5ヵ月間学生の身分であれば卒業年度でもよいことになっています。12月31日現在23歳以下であり、給与を受け取り始めたためたとえ収入が3200ドル以上あっても、23歳以下の学生の例外規定により扶養控除が認められます。翌年は年齢超過のため扶養控除は認められません。(78)

人的控除・扶養控除(2)親族・世帯員条件 Relationship Test

<人的控除・扶養控除(2親族・世帯員条件 Relationship Test>

 親族・世帯員条件は、扶養家族として認められるための五条件の一つです。三親等以内の血縁関係または姻戚関係の親族であることを条件とします。ただし、一年中を通じて家族の一員として同居している場合は、親族である必要はありません。

年内に生まれた子供は、生まれた年度に扶養家族となります。たとえ12月31日に生まれても扶養控除が認められます。ただし、私産の場合は決して扶養控除は認められません。里子の場合は、一年中を通じて家族の一員である必要があります。養子は実子と同等に扱われるため、同居していなくても他のすべての扶養条件を満たしていれば、扶養控除が認められます。扶養家族が死亡した場合、死亡年度に扶養控除が認められます。

(例)婚姻届を提出していない男女が同棲しています。住んでいる州の法律上同棲は公序良俗に反するため、一人が働いて他方の生活の面倒を全面的に見ていたとしても扶養控除は認められません。二人の間に生まれた子供がいる場合、二人のうちのいずれかの申告書上で扶養家族として控除がとれます。(76)

人的控除・扶養控除(1)高額所得者に対する控除制限 Phase-out of Exemption

<人的控除・扶養控除(1高額所得者に対する控除制限  Phase-out of Exemption>

人的控除・扶養控除(パーソナル・イグゼンプション)は、納税者本人、配偶者、扶養家族各一人について一定金額の控除が認められるという制度です。これは日本の所得税の基礎控除、配偶者控除、扶養控除に相当します。2013年の金額は一人3,900ドルでしたが、2014年は3,950ドルです。2015年以降も消費者物価指数に基づくインフレ調整が施されて増額していきます。納税者本人と配偶者は誰でも控除が認められますが、扶養控除は扶養家族のための5条件を同時に満たさなければなりません。

高額所得者は、人的控除・扶養控除が全額認められず、収入が増えるに伴い控除額は段階的に減額し、一定額の調整総所得を超えると控除額は消滅します。例えば、独身の場合、調整総所得が250,000ドルを超えると、収入が$2500増加するごとに人的控除・扶養控除の2%分が減額します。独身以外の減額が始まる一定額は、夫婦合算申告$300,000、夫婦個別申告$150,000、特定世帯主$275,000です。(75)

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