日本の相続税87-相続 遺言がないとき


<日本の相続(87)-遺言がないとき>

遺言がないときは、民法の定めに従い、相続人の間で法定相続の割合による画一的な取り扱いで遺産を分割します。

例えば、子および配偶者が相続人であるときは、相続分はそれぞれ2分の1です(民法900条)。抽象的に相続分の割合が定められているため、遺産の具体的な帰属は、相続人全員で遺産分割の協議(協議分割)をして決める必要があります。誰でも少しでも余分に、少しでも良いものを取りたいのが人情なので、自主的に協議をまとめるのは必ずしも容易ではありません。協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停または審判(裁判分割)によって解決しますが、争いが深刻化して解決が困難になる事例が後を絶ちません。例えば、妻には自宅と□万円、長男にはマンションと○万円、長女には別の土地と◇万円といったように、具体的に遺言で決めておけば争いを未然に防ぐことができます。

法定相続の規定は、比較的一般的な家族関係を想定して設けられているため、それをそれぞれの具体的な家族関係に当てはめると、相続人の間の実質的な公平が図られない場合も生じます。例えば、ずっと家業を助け、遺言者と苦労と困難を共にしてきた子と、あまり家に寄りつかない子に、それなりの差を設けないとかえって不公平になります。(192)

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