永住権保持者の贈与税・遺産税 Permanent Resident and Gift/Estate Tax


<永住権保持者の贈与税・遺産税 Permanent Resident and Gift/Estate Tax>

 永住権(グリーンカード)保持者は、所得税法上、米国居住者として米国市民と同等の扱いを受け、全世界所得が課税の対象となることは周知の通りです。永住権を保持していると自動的に「居住者」となるのは所得税の取り扱いであり、贈与税・遺産税では永住権保持者が米国市民と同等の扱いを受けるとは限りません。贈与税・遺産税法上、Domicile (定住地) と呼ばれる、所得税とは異なる「居住者」の定義が適用されるためです。定住地とは、本人がいずれは戻って来ると考えている故郷のような場所のことで、それが米国内にあれば「居住者」、米国外にあれば「非居住者」となります。そのため、ビザで米国に滞在する全ての外国人および多くの永住権保持者は、贈与税・遺産税法上非居住外国人と判定されます。

非居住外国人と判定される永住権保持者は、連邦遺産税の基礎控除額として6万ドルだけが認められ、米国市民に適用される534万ドル(2014年)の非課税額は認められません。同様に、連邦贈与税の基礎控除額として受贈者一人当たり1万4000ドルだけが認められ、米国市民に適用される534万ドル(2014年)の生涯非課税贈与額は認められません。非居住外国人は、贈与税・遺産税の基礎控除額が大幅に制限される一方、課税対象となる贈与・遺産として米国内資産だけが含まれることとなっています。居住者・非居住者の税法上の身分と非課税枠との関係や財産の所在国などについて事前に計画することによる贈与税・相続税の合法的な節税が勧められます。また、日米贈与相続税条約を適用することによる節税も考慮する必要があります。(303)

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