遺言による指定分割


日本で相続人が二人以上いる場合、被相続人は生前に遺言によって法定相続分とは異なる相続割合を指定することができます。指定相続分による遺産分割のことを指定分割といいます。法定相続分は、あくまでも遺言がない場合の補助的な基準であり、故人の意思が尊重されますから、指定分割は法定相続分による分割よりも優先されます。

相続財産のすべてについて相続分を指定することも、一部の相続人の取り分についてだけ指定することもできます。相続分の指定が一部の相続人だけであった場合、他の相続人は残りの財産について法定相続分によって分けることとされています。例えば、妻と子供2人、遺産額1億円と「遺産の4分の3を妻に与える」という遺言を残して夫が死亡したとします。この場合、妻の相続分は7500万円、子供の相続分は残りの2500万円を等分して、それぞれ1250万円になります。

相続人の最低限相続を保証する制度である遺留分を侵害する相続分の指定が遺言によってなされた場合、遺言そのものは有効ですが、遺留分権利者は申し立てにより侵害分の取り戻し請求をすることができます。(646)

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