自営業による事業展開・長所と短所

自営業による事業展開と、会社形態による事業展開を比較してみます。

自営業は1人の個人が資金(資本)を拠出して設立する個人事業形態です。事業主がすべての資産を所有し、事業の全経営権を有するかわりに、個人的および事業上のすべてのリスク、債務損失および損失の無限責任を負います。

個人事業主 (Proprietor) が、カウンティー・クラーク事務所に出向いてBusiness Certificateビジネス証明書を提出して登録を行います。ビジネス証明書は文房具屋で売っているものを使うことができます。カウンティー・クラーク事務所の職員は、申請者の名称が既に登録されていないかどうかを確認し、名称を登録してビジネス証明書の発行を行います。登録費用は、ファイリング、ノータリー、コピー代などで100ドル~200ドルです。一方、会社の設立には、より高額の費用を必要とします。事前に、商号(会社の名称)、授権株式数、額面金額、取締役会の構成員氏名(社長、副社長、ディレクターオフィサー)などを決め、基本定款)および付属定款を作成します。そして、州務長官明に提出して認可を得ます。明らかに自営業の事業開始のための書類作成の方が簡単であることがわかります。自営業の長所は、事業設立の簡便さ、事業主がすべての決断を下すことができること、利益を独占できることです。(762)

 

 

個人事業主の登録

アメリカで新しく個人事業を始めるにあたり考えておかなければならないことを検討します。ソーシャル・セキュリティー番号を持っていることが大前提です。事業展開をする州やカウンティーによって必要書類や順序が異なることを念頭においてください。ここでは、ビジネス証明書にニューヨーク市で登録申請する場合を検討します。まず、本人が外国籍である場合、就労資格を伴う合法ビザを保有していることが前提となります。

個人事業主 (Proprietor) が、カウンティー・クラーク事務所に出向いてビジネス証明書(Business Certificate)を提出して登録を行います。ビジネス証明書は文房具屋で売っているものを使うことができます。カウンティー・クラーク事務所の職員は、申請者の名称が既に登録されていないかどうかを確認し、名称を登録してビジネス証明書の発行を行います。登録費用は、ファイリング、ノータリー、コピー代などで100ドル~200ドルです。

次にIRSから発行される雇用主番号(Employer Identification Number)を取得します。その後、銀行に出向いてビジネス証明書と雇用主番号を提出すると、銀行口座を開設することができます。(759)

自営業の税務 Taxation of Self-Employment Income

<自営業の税務>

会社勤めではなく自営業の形で生計を立てている場合は、自営業収入から関連するすべての必要経費差引後の金額(これを事業所得と呼びます)を計算しスケジュールC様式に記入して、申告書フォーム1040に添付提出します。給与所得者が副業で自営業収入がある場合も同様に、スケジュールC様式で事業所得を計算します。 事業遂行上、通常かつ必要なすべての合理的経費の控除が認められます。自営業者は普段から収入と支出の詳細な帳簿記録を維持しておく必要があります。収入の申告漏れや、多くの種類の経費控除の証拠不備を疑われて、IRSによる税務調査の対象となる頻度が高いからです。

事業所得に他のすべての所得を加えて総所得を算出します。その金額から自営業だけに認められる自営業税の50%、健康保険料、自営業退職基金積立金などの所得調整控除を差し引きます。次に給与所得者の場合と同じ項目別控除または概算額控除、人的・扶養控除を差し引いて、課税所得を算出し、税率を掛け合わせて所得税を計算します。

自営業税(Self-Employment Tax, Schedule SEで計算します)と呼ばれるソーシャルセキュリティー税とメディケア税(社会保障税)を計算して、所得税に加えてIRSへ納付する義務があります。給与所得者の場合、社会保障税は会社と個人が半額ずつ負担しますが、自営業者は自分で全額負担します。年4回に分けて予定納税を払い込んでおく必要があります。(438)

雇用の分類と独立請負人 Independent Contractor

<雇用の分類と独立請負人 Independent Contractor>

雇用の分類には、報酬から源泉税差引後の手取金額を支給する従業員(Employee)と、税金を差し引かずに報酬の全額を支給する独立請負人(Independent Contractor)とがあります。フォーム1099-MISCを発行するだけで源泉徴収や給与関係税の負担がなく、雇用主の経費節減になる独立請負人を選ぶ傾向があります。しかし、従業員と独立請負人の分類は、雇用主と被用者との間の関係によって判断されるのであって、自由に選択できるわけではありません。この点に着目したIRSは、法人税の税務調査の際、独立請負人の分類や報酬の支払いについて調べ、追徴税や延滞税の要求をするため要注意です。

IRSの規定によると、個人の行動に関して会社の拘束度が高く、管理下に置いている場合、従業員と判断されます。具体的には、会社が勤務時間や雇用の場所を指定すること、業務遂行の順序や方法を指示すること、使用する道具や機材を提供すること、特定の作業方法についての研修を施すことなどがあげられます。一方、独自の業務手順や方法で仕事をする場合や自由裁量に委ねられている場合は、独立請負人と見なされます。独立請負人は、業務遂行上の必要経費の支出が自由であり、業務遂行のための機材や道具、施設を投資所有しています。業務提供を複数の関与先にも行うことができます。雇用保険、退職年金、福利厚生制度の有無も判断基準となります。2012年には、会社が自発的に雇用改善を行い給与関係税を支払うと、過去を問わないとする恩赦制度がありました。(388)

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