日米相続税条約の効用


日本の相続税・贈与税は、相続人および受贈者に対して課税されます。それに対して米国の連邦遺産税・贈与税は、被相続人(死亡者)・贈与者に対して課税されます。日米で相続税・贈与税の納税義務者が逆になっています。そのため、相続人が日本に居住し、被相続人が米国に居住している場合は、日米両国で全世界財産が課税の対象になることによる二重課税が生じます。このような二重課税を排除するために締結されたのが日米相続税条約です。

 

米国税法上の非居住外国人が日本と米国に財産を遺して亡くなった場合、米国に所在する財産のみが連邦遺産税の対象となります。米国国内法で非居住外国人に認められる遺産税の基礎控除の額は6万ドルです。6万ドルは、米国市民・米国居住者に適用される非課税遺産額の$5,340,000(2014年)と比較して著しく低い金額であることから、日本国籍を持つ非居住者には日米相続税条約第4条に基づいて、市民・居住者用の非課税遺産額を適用する特例計算が認められます。

 

米国内遺産が全世界遺産に占める割合を市民・居住者に認められている非課税遺産額に掛け合わせた金額を、非居住外国人の非課税遺産額とする計算であり、節税に役立ちます。(473)

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