国境を超える相続税


 日本で親が亡くなり、米国に住んでいる子が親の財産を相続する場合の相続税について検討します。

日本国籍を有する日本居住者(親)が亡くなった場合、遺された財産の所在国や相続人(子)の国籍、居住国に関わりなく、日本の相続税が必ず課せられます。すなわち、日本にある財産であるか、日本国外にある財産であるかに関わりなく、全世界財産が課税対象となります。また、相続人が日本国籍を有する日本居住者である場合は勿論のこと、米国に居住するグリーンカード保持者や外国籍保持者であっても、日本の相続税が課せられます。例外として、相続人と被相続人の双方が5年超日本国外に居住し、国外財産が関与する場合に限り非課税扱いとするという規定があります。

米国の遺産税は、日本のように財産を受け継ぐ相続人(子)に課せられるのではなく、遺された全遺産の価値に対して課せられる税金であり、相続人の人数や居住国に関わりなく計算されます。米国税法上の親の身分は非居住外国人であるため、課税対象となる遺産は一定の米国内財産(不動産、家具、車、宝石等の有形資産、米国法人発行の株式、米国債券)だけに限られます。非居住外国人名義の米国銀行預金や外国株式・債券、生命保険金は、遺産税法上非課税です。親が遺した財産は日本だけにあって米国にはない場合は、連邦遺産税は発生しません。米国国外(日本)で相続や贈与を受け取った場合、その内容と金額をフォーム3520に記入して、IRS(内国歳入庁)へ報告する義務があります。(531)

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