永住権か市民権か Green Card or Citizenship?


<永住権か市民権か   Green Card or Citizenship?>

 永住権放棄者に関する新規定の発効に伴って、米国の永住権と市民権とではどちらが税金上有利かという議論が再燃しています。永住権が不利であるという従来の論点は、贈与や相続を受け取る配偶者が市民権を有する場合、婚姻控除(Marital deduction) の適用により夫婦間の財産移転が無税で行うことが可能であるのに対して、永住権配偶者には婚姻控除が認められないため有税移転となって損になるというものでした。所得税の取り扱いは、永住権と市民権との間で平等でしたが、新規定下では永住権は市民権よりも不利となります。

永住権保持者が再入国許可の期間を超えて長期にわたって海外(例えば日本)に住むと、グリーンカードの返還、すなわち永住権放棄を余儀なくされます。一定条件に該当する永住権放棄者は「該当出国者」となり、「出国税」(すべての全世界資産を譲渡(売却)したならば得られる譲渡益にかかる時価評価譲渡税)を支払う義務があります。永住権のかわりに米国籍を保持していれば、どんなに長期間海外に住んでも国籍離脱をしない限り、出国税を支払う必要はありません。海外に長期間住む予定の永住権保持者は(二重国籍の問題は別として)米国籍を取得することが得策と言えます。(241)

Copyright © 2014 Joe Oshima, CPA All Rights Reserved