項目別控除の制限

納税者はStandard DeductionまたはItemized Deductions の控除方式のうちいずれかを選択して税金計算を行います。2017年までは、州・市の所得税や固定資産税、動産税などの諸税金は、金額に関わりなく全額が項目別控除の一つとして控除が認められてきました。住宅所有者が支払う固定資産税は、住宅ローン支払利子と並んで、住宅減税を達成するための控除項目として大きく役立ってきました。2018年から諸税金の控除額として1万ドルの上限額が設定されました。このことは実質的に固定資産税控除の否認を意味します。

項目別控除の一つとして認められてきた勤務活動経費控除、および、投資関連経費控除があります。調整総所得の2%足切制限対象の経費です。これら経費控除が2018年から撤廃となりました。給与所得者が勤務活動の一環として雇用主のために支出した経費で、会社からの返済額を超過した金額が控除の対象となっていました。以下、否認される経費の例です。出張旅費、交通費、交際費、贈答品費、組合費、職業団体会員費、文房具・消耗品などの費用、専門雑誌、職業新聞購読料、勤務関係教育費、自宅用事務所経費。

さらに、投資顧問料、投資管理手数料、投資相談料、税務申告書作成手数料なども控除撤廃です。

このように、2018年の申告からトランプ大統領による税制改正の影響が鮮明に感じられます。(701)

 

慈善寄付(Charitable Contributions)の控除

慈善寄付は、項目別控除の一つとして控除が認められます。控除が認められるためには、IRS(内国歳入庁)からチャリタブル・オーガニゼーション(非営利慈善団体)の認可を受けている米国の組織への寄付でなければなりません。慈善寄付の控除限度額は、2017年までは調整総所得の50%でしたが、2018年以降調整総所得の60%に増率となりました。寄付の種類によっては限度額が30%、または20%となる場合があります。

○調整総所得の60%を控除限度額とする寄付――宗教目的、慈善目的、科学、文化、教育目的、および一般公益増進目的の公衆によって支持された慈善団体に対する現金による贈与、通常の所得を生み出す資産および短期保有のキャピタル・ゲイン資産による現物贈与は、調整総所得の60%を控除限度額とします。

○調整総所得の30%を控除限度額とする寄付――退役軍人組織、友愛組合、およびその他の非公益団体に対する現金による贈与、および長期キャピタル・ゲイン資産以外の現物贈与は、調整総所得の30%を控除限度額とします。

○調整総所得の20%を控除限度額とする寄付――退役軍人組織、友愛組合およびその他の非公益団体に対する長期キャピタル・ゲイン資産の現物贈与は、調整総所得の20%が控除限度額となります。(700)

慈善寄付(Charitable Contributions)の控除

慈善寄付は、項目別控除の一つとして控除が認められます。控除が認められるためには、IRS(内国歳入庁)からチャリタブル・オーガニゼーション(非営利慈善団体)の認可を受けている米国の組織への寄付でなければなりません。慈善寄付の控除限度額は、2017年までは調整総所得の50%でしたが、2018年以降調整総所得の60%に増率となりました。寄付の種類によっては限度額が30%、または20%となる場合があります。

○調整総所得の60%を控除限度額とする寄付――宗教目的、慈善目的、科学、文化、教育目的、および一般公益増進目的の公衆によって支持された慈善団体に対する現金による贈与、通常の所得を生み出す資産および短期保有のキャピタル・ゲイン資産による現物贈与は、調整総所得の60%を控除限度額とします。

○調整総所得の30%を控除限度額とする寄付――退役軍人組織、友愛組合、およびその他の非公益団体に対する現金による贈与、および長期キャピタル・ゲイン資産以外の現物贈与は、調整総所得の30%を控除限度額とします。

○調整総所得の20%を控除限度額とする寄付――退役軍人組織、友愛組合およびその他の非公益団体に対する長期キャピタル・ゲイン資産の現物贈与は、調整総所得の20%が控除限度額となります。(700)

 

医療費控除

項目別控除の一つとして控除が認められる医療費として、納税者本人、配偶者および扶養家族のために支払った内科、外科、小児科、産婦人科、皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科、歯科など、あらゆる種類の身体疾患の診療費、治療費、処方箋薬品費、および健康保険料を含みます。保険でカバーされた金額を除き、実際に自己負担の形で支出したものに限ります。入院費、手術費、看護費、救急車、レントゲン、血液などの検査料、医療関係交通費、眼鏡、コンタクトレンズ、義歯、松葉杖、車椅子、盲導犬、慢性疾患看護保険料を控除できます。

医療関連経費の合計額が調整総所得の7.5% (2019年以降10%)の「足切り制限」額を超えた金額が控除の対象となります。7.5% の「足切り制限」以下の場合、医療費控除は一切認められません。例えば、調整総所得6万ドル、医療費5000ドルの場合の足切り制限額は、4500ドル(6万ドx 7.5% = 4500ドル)であり、控除額は差額の500ドルとなります。

控除できないものは次の通りです。生命保険料、市販の風邪薬、鎮痛薬、ビタミン剤などの常備薬、美容のための整形手術、違法ドラッグ、違法手術費、妊婦服、ピアス代、美容ダイエット薬、健康食品、減量プログラム費用、ヘルスクラブ会員費。(669)

被災地指定損失控除

所得税の計算上、項目別控除の一つとして災害盗難損失控除が認められてきましたが、2018年以降、その内容が大きく変わります。2017年までは、自然災害、自動車事故、火災や、盗難などによる損失額が控除の対象となっていました。2018年以降控除の対象となる災害とは、暴風雨、ハリケーン、竜巻、地震、津波、洪水、火山噴火、大雪、地滑り、大火災、などの災害のうち、大統領によって被災地指定の宣言が発せられた場合に限られます。災害は突然で、予期不能な、常軌を逸した破壊力によって生じたものでなければなりません。このように、災害の内容が以前と全く異なる種類のものになりました。

 

損失金額は以前同様、「足切制限」が適用となります。すなわち、保険や政府による補填額を超える金額で、調整総所得の10%を超過した部分が控除できる金額です。足切制限以下の場合、損失控除は一切認められません。被災地指定宣言が発せられることは頻繁には生じないため、殆ど見かけることのない控除項目になると言えます。(668)

 

住宅減税効果の減少

持ち家があると「住宅減税」の作用によって税金上有利となると言われてきました。住宅所有者が支払う固定資産税と住宅ローン支払利子について、個人所得税の計算上、控除が認められるからです。住居関連の支出の控除が認められないアパート住まい・貸家住まいと比べると、持ち家があれば節税分だけ得をする仕組みのためでした。

トランプ大統領による税制改正は、住宅所有者にとってかなり厳しい条項が含まれています。まず、固定資産税控除の大幅削減です。旧規定では固定資産税は、納税者の居住用住宅、セカンド・レジデンス、別荘、海外にある住居などの分が制限なしに、合計額が項目別控除の対象となっていました。2018年からの新規定では、固定資産税に州個人所得税を加えた合計額のうち、上限額として1万ドルの控除を認めると定められました。次に、住宅ローン支払利子控除の制限です。新しい契約の住宅ローンの借入上限額が百万ドルから75万ドルへ減額となります。旧契約による住宅ローン支払利子は、既得権により超過部分に対応する支払利子であっても控除が認められます。ホーム・エクイティー・ローン支払利子は、住宅改築用借入を除き控除できなくなります。(668)

慈善団体

一般的に慈善寄付の控除限度額は総所得の50%ですが、寄付の種類によっては限度額が30%、または、20%となる場合があります。ほとんどの場合、慈善寄付の金額が、総所得に比べて著しく高額でなければ、限度額のことを心配することなく、全額控除が認められます。

慈善寄付の控除が認められるためにはIRS(内国歳入庁)からチャリタブル・オーガニゼーション(非営利慈善団体)の認可を受けている米国の組織への寄贈でなければなりません。以下が適格団体の例です。

  • 宗教目的――キリスト教教会、ユダヤ教寺院、回教寺院、仏教寺院等。
  • 慈善目的――ボーイ・スカウト、ガール・スカウト、赤十字、ユナイテッド・ウエイ、YMCA、YWCA、癌協会、小児麻痺・エイズ等救済募金運動、救世軍等。
  • 科学、文化、教育目的――病院、研究機関、大学、学校(ただし人種差別を行わないこと)、各種教育機関、犯罪麻薬撲滅運動、図書館、美術館、博物館、交響楽団、室内楽団、オペラ団、バレエ団、劇団、音楽堂、劇場、公序良俗改善運動、社会福祉促進運動等。
  • 一般公益増進目的、その他――児童虐待防止運動、動物愛護協会、アマチュア・スポーツ競技促進協会、司法扶助団体、墓地、連邦政府、州・地方自治体政府、各種政府機関。
  • 友愛目的――退役軍人組織、ロータリー・クラブ、ライオンズ・クラブなどの友愛組合、非公益目的団体への慈善目的基金。 (621)

現物による慈善寄付

 

慈善寄付を控除するためには、スタンダード・ディダクション(概算額控除)ではなく、アイテマイズド・ディダクション(項目別控除)の控除方式を選択しなければなりません。現金を寄付した場合と同様、現物を慈善団体に寄贈した場合も慈善寄付控除が認められます。寄贈物件の種類によって取得費または時価が控除の金額となります。取得時の領収書、寄贈時の時価を示す書類、および、慈善団体が発行する寄贈物件の受領確認状を必ず保管しておかなければなりません。

1年以上保有した含み益のある株式および不動産の贈与は、時価が控除の金額です。1年未満保有の株式、不動産、および、保有期間に関わりなく衣類、家具、書籍、宝石、美術品、什器などの場合、原則として取得費または時価のいずれか低い方の金額を慈善寄付の評価額とします。

250ドル以上の現物贈与は、証拠として慈善団体から物件の受領を示す確認状を受け取っておく必要があります。500ドル超の場合は、フォーム8283に慈善団体名と住所、寄贈物件の説明、寄贈日、取得日、取得の手段、取得費、時価、その評価方法などを記入して、スケジュールA(項目別控除)と共に確定申告書に添付提出する義務があります。5000ドル超の場合、しかるべき専門家による鑑定書を必要とします。(620)

 

現物による慈善寄付控除

現物による慈善寄付控除

現金による慈善寄付が税金計算上控除できることは周知のとおりです。現金ではなく現物を慈善団体に寄贈した場合も控除が認められます。寄贈物件の種類によって取得費または時価が控除の金額となります。取得時の領収書、寄贈時の時価を示す書類、および、慈善団体が発行する寄贈物件の受領確認状を必ず保管しておく必要があります。

1年以上保有した含み益のある株式や不動産を寄贈した場合に控除の金額として認められるのが時価評価額です。1年未満保有の株式や不動産は、取得費または時価のいずれか低い金額が控除できます。保有期間に関わりなく衣類、家具、書籍、宝石、美術品、什器(じゅうき)などの場合、原則として取得費または時価のいずれか低い方の金額を慈善寄付の評価額とします。

250ドル以上の現物贈与は、証拠として慈善団体から物件の受領を示す確認状を受け取っておく必要があります。500ドル超の場合は、フォーム8283に慈善団体名と住所、寄贈物件の説明、寄贈日、取得日、取得の手段、取得費、時価、その評価方法などを記入して、スケジュールA(項目別控除)と共に確定申告書に添付提出する義務があります。5000ドル超の場合、しかるべき専門家による鑑定書を必要とします。(521)

 

項目別控除:高額所得者に対する段階的控除削減 Phase-out of Deductions

<項目別控除:高額所得者に対する段階的控除削減 Phase-out of Deductions>

 高額所得者は、項目別控除について全額認められず、調整総所得が一定金額を超え、上限額に達するまで超過額の3%相当額が項目別控除の合計額から減額されます。2013年一定額と上限額は次の通りです。

・ 夫婦合算申告:$300,000/$422,500

・ 特定世帯主:$275,000/$397,500

・ 独身:$250,000/$372,500

・    夫婦個別申告:$150,000/$211,250

ただし、減額の最高限度額は項目別控除の合計額の80%とします。また、医療費、災害盗難損失、投資支払利子は減額の対象とはなりません。

項目別控除の減額計算例:

調整総所得(独身)                       $260,000

項目別控除合計額                           40,000

減額の計算(260,000-250,000)x 3%=          300

控除認容額 (20,000-300)=             $19,700

なお、この控除制限の規定は2010年~2012年には廃止され、2013年から復活しました。(74)

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