日本の相続⑪   寄与分制度


同じ順位の相続人が遺産を均等に相続することが必ずしも妥当とは言えないケースがあります。相続人の中に、被相続人の財産の増加や維持に特別の寄与をした人がいる場合は、遺産の分配にあたり、寄与分として別枠で遺産を相続できるようにするのが「寄与分制度」です。

例えば、長男は高校卒業後すぐに父親の後を継いで農業に従事し、それから30年間勤勉に働いてきました。一方次男は、大学を卒業して都会で結婚し、会社勤めをしています。年に一度手土産を持って孫の顔を見せに帰るだけです。父親が亡くなり、遺された財産は1億円で、そのほとんどが田畑などの農業用財産です。父親が財産を遺せたのも、要は長男が一所懸命に農業をしていたからです。したがって、遺産の名義は父親であっても、その中には相当程度、長男の労働による寄与分も含まれていると見ることができます。長男の寄与分が仮に4000万円とすると、残りの6000万円を長男と次男で相続分に従って配分することになります。

寄与者の貢献度をはかる明確な基準はありません。寄与分の金額は原則、相続人同士の話し合い協議で決めます。協議がまとまらないときは、家庭裁判所の調停で決めてもらうことになります。(781)

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