寄与分制度


同じ順位の相続人が遺産を均等に相続することが必ずしも妥当とは言えないケースがあります。相続人の中に、被相続人の財産の増加や維持に特別の寄与をした人がいる場合は、遺産の分割にあたり、寄与分として別枠で遺産を相続できるようにするのが「寄与分制度」です。

例えば、長男は高校卒業後すぐに父親の後を継いで家業に従事し、それから40年間勤勉に働いてきました。一方次男は、大学を卒業して都会で結婚し、会社勤めをしています。年に一度手土産を持って孫の顔を見せに帰るだけです。父親が亡くなり、遺された財産は2億円で、その多くが長男の努力によって保全されてきました。父親が財産を遺せたのは、要は長男が一生懸命家業に尽くしたためであり、遺産の名義は父親であっても、その中には相当程度、長男の労働による寄与分も含まれていると見ることができます。長男の寄与分が仮に8000万円とすると、残りの1億2000万円を、母親および長男と次男とで相続分に従って配分することになります。

寄与分の金額は原則、相続人全員で話し合う遺産分割協議で決めることになっています。協議がまとまらない場合や、協議ができない場合は、日本の家庭裁判所の審判で決めてもらうことになります。家庭裁判所では、寄与したと主張する者の請求に基づいて、寄与の時期、方法および程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を決めます。(635)

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