日本の相続⑤ 代襲相続
- At August 03, 2020
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日本では、故人(被相続人)の子が相続開始以前に既に死亡している場合は、死亡した子の子、つまり被相続人の孫に相続権が移ります。この場合の孫を「代襲相続人」、死亡した子を「被代襲者」といいます。身代わりの相続人である孫は、死亡した子と同じ第一順位の血族相続人とみなされます。代襲相続人となる孫がいるときは、第二順位の父母(直系尊属)と第三順位の兄弟姉妹は相続人になることができません。
被相続人に子がなく、父母も既に死亡している場合は、兄または弟(姉妹)が相続人になります。兄弟が既に死亡しているケースでは、その子であるおい(またはめい)が兄弟に代わって相続人になります。この場合、おいが「代襲相続人」であり、死亡した兄弟が「被代襲者」となります。「代襲相続人」となるべきおいも既に死亡していた場合は、再代襲は認められず、おいの子は相続人になりません。子の代襲相続人になるべき孫が死亡していた時は、ひ孫がというように再代襲が繰り返し認められますが、兄弟姉妹の代襲は、おいかめいの段階で打ち切られます。(775)
日本の相続④ 相続の優先順位
- At July 27, 2020
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法定相続人として配偶者や子のほかに、父母、祖父母、兄弟姉妹も含まれています。相続権が認められていても法定相続人なら誰でも遺産の分与を受けられるわけではありません。それは法律によって、第1順位は子、第2順位は父母・祖父母、第3順位は兄弟姉妹という相続の優先順位が決められていて、上の順位の者が生存しているときは、下の順位の血族には相続権がないからです。
被相続人(故人)と夫婦関係にあった配偶者は別格で、優先順位に関係なく、常に無条件で相続人となります。婚姻届を出している法律上の正式な夫婦に限られ、内縁関係は認められません。逆にいえば、たとえ長年別居していても離婚届を出していなければ、その人は配偶者として別格の遺産相続人になります。
相続順位が配偶者と同様に高いのが、血族の中の第1順位にいる子(直系卑属)です。血族の中に順位の高い人がいる場合、その人たちだけが相続人になって、低い順位の人には相続権がなくなります。従って、故人に子がいる場合は、その子たちが1位となるため、親や兄弟がいても、第2順位、第3順位の彼らには遺産の相続はできないことになります。(774)
日本の相続③ 法定相続人
- At July 20, 2020
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故人(被相続人)が遺した財産を引き継ぐ遺族のことを相続人といいます。誰でも相続人になれるわけではなく、遺言書に被相続人(故人)による指定がある場合を除いて、日本の民法の規準に従うことになっています。これを「法定相続人」といいます。
法定相続人は、被相続人の配偶者と血族に限られています。この場合の配偶者とは、婚姻届を出した法律上の正式な妻または夫のことを指し、いわゆる内縁関係の夫婦の場合は相続人になることはできません。血族についても制限があり、その範囲は被相続人の子や孫(直系卑属)と父母、祖父母(直系尊属)、そして兄弟姉妹に限定されています。
子の中には、正式に法律上の縁組をした養子も含まれています。また、法律上の正式な夫婦でなくても、被相続人との間に生まれた子供(非摘出子)は、父親が「認知」して戸籍上の届け出をしてあれば相続人になることができます’。被相続人の兄弟姉妹は、たとえ異母・異父であっても相続権が認められます。(773)
日本の相続 ①相続の承認
- At July 13, 2020
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日本で父が亡くなり、遺された財産を子が受け継ぐことになりました。相続とは、故人(被相続人)が遺した財産を一定範囲の親族(相続人)が受け継ぐことです。財産には、不動産、預貯金、有価証券などプラスの財産のほかに、借入金、未納の税金といった債務(マイナスの財産)も含まれます。財産の金額よりも債務のほうが高額である場合、相続人(子)が借金をかかえることになります。そのため、相続人が相続財産を受け入れるかどうか自由に選択することが認められています。相続について、次の3つの選択肢が与えられています。
相続承認の選択
- 相続単純承認―― 財産と債務のすべてを無条件、無制限に承認して引き継ぐこと。
- 限定承認―― 財産の範囲内に限定して債務を負担すること。
- 相続放棄―― 一切の財産と債務を受け継ぐ権利を放棄すること。
単純承認では、相続人は民法の原則に従って被相続人の一切の権利義務を包括的に承認することになります。
単純承認についての特別な手続きはありません。限定承認または相続放棄を選択するには、相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所へ届け出なければなりません。この3ヵ月の期間を過ぎると単純承認したものとして扱われます。(771)
相続の限定承認と相続放棄
- At July 13, 2020
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債務の範囲内で財産を引き継ぐという条件で相続を「限定承認」すると、債務超過分の支払義務がなくなります。債務との相殺(損益通算)後、財産がまだ残っていれば、その財産をを相続することができます。財産の金額の方が多いか、債務が上回るかよくわからないときは、「限定承認」をすることが安全といえます。「限定承認」するには相続人全員が「限定承認」に同意して、相続開始から3ヵ月以内に日本の家庭裁判所へ届け出をしなければなりません。一人でも反対者がいる場合、「限定承認」の選択はできなくなります。
財産と債務の受け継ぎを一切拒否する「相続放棄」の申述書を提出すると、裁判所ではその申述が本人の意思かどうか審判し、真意であることが判明すると受理されます。申述受理証明書があれば、借金の取り立てに対抗・拒否できます。「相続放棄」は、相続人全員一致の必要はなく単独で選択することができます。
放棄者は、始めから相続人でなかったものと見なされ、代襲相続はできません。したがって、他の相続人が受ける相続分の割合や、相続順位が変わることがあります。(772)
名義預金
- At February 03, 2020
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名義預金とは、自分以外の人名義の預金となっているものの、相続税上の実質的な所有者は、その名義人以外の者である預金をいいます。名義預金となるには、自分の資産から子や孫などの家族名義の預金へ移動させていることが大前提となります。原則として、贈与を受けた場合贈与税の対象となります。また、亡くなった時に預金残高があった場合には、原則として相続財産となり、相続税の対象となります。
専業主婦が給与所得者の夫から月々一定の生活費を受け取り、その中からやりくりして少しずつ貯えをしてきたとします。何かあったときのためにと、自分名義の預金口座に預けてきたものです。この中には、パートに出て自分で稼いだ分も少額ながら含まれていますが、これは除きます。やりくりで貯めた貯蓄は、日本の贈与税・相続税法上、生活費を渡してくれた側の夫の財産であるという認識が必要です。最近では、家族名義の預金は殆どが調査され指摘を受けます。
もらった側の妻の財産としたい場合には、お互いにあげた、もらったという意思表示を確認し、贈与契約を結ぶなど正しい方法で贈与を行う必要があります。(752)
相続税の物納(日本)
- At January 27, 2020
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日本の相続税は金銭で納付することが原則となっています。しかし相続した財産が不動産ばかり、または自社株のみといった場合には、納期限までに相続税を金銭で納付することができないケースもあります。このような場合を想定し、相続税法には「物納」という制度が設けられており、一定の要件を満たせば金銭に代えて相続した財産を相続税として納付することが認められています。
物納に充てる財産は、日本国内にある次に掲げる相続財産で、下記の順位によること。
第一順位:国債、地方債、不動産、船舶。
第二順位:社債、株式、証券投資信託または貸付信託の受益証券。
第三順位:動産。
不動産の担保が設定されているもの、境界が確定していないものなどは、管理処分不適格財産となり、物納に充てることができません。また納税者の住宅などは、物納劣後財産となり、物納の優先順位は下がってしまいます。つまり不動産を物納する場合には、借地権が設定されている土地、いわゆる貸宅地が有利と考えられます。この場合の収納価額は相続税評価額で算出するので、 市場で売却するよりも有利です。(749)
代襲相続とは
- At May 28, 2019
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日本で法定相続人の子や孫などが代わって相続することを代襲相続といいます。被相続人の子が先に死亡して孫がだ代襲相続人になるケースと、相続人となる筈であった兄弟姉妹が先に死亡し、その子、つまりおいかめいが代襲相続人となるケースの二つがあります。例えば、祖父が遺産を遺して死亡したとします。祖母(祖父の配偶者)は10年前に、一人娘は5年前に、それぞれ亡くなりました。残された遺族は米国籍の母の子(祖父の孫)と日本在住の大叔父(祖父の弟)の二人の血族生存者だけです。相続人となる筈であった祖父の唯一の子(母)が相続開始以前に死亡したため、孫に相続権が移ります。この場合の孫を「代襲相続人」、子を「被代襲者」といいます。代襲相続人は、本来相続人となるべきであった人の身代わり相続人ですから、日本の民法上、孫は子と同じ第一順位の血族相続人とみなされます。第一順位の代襲相続人である孫がいるときは、第二順位の直系尊属と第三順位の兄弟姉妹は相続人になることができません。従って、大叔父に相続権はなく、米国籍の孫一人だけが法定相続人となり、祖父の遺産のすべてを相続します。
連邦遺産税は、亡くなった祖父の税法上の身分が非居住外国人であるため、特定の米国内財産があるときだけ課税され、米国内財産がなければ課税は一切発生しません。(719)
相続時精算課税制度
- At September 04, 2018
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相続時精算課税制度は、無税で生前贈与を受け取ることが可能となる日本の制度です。この制度を利用すると、子または孫一人につき2500万円までの財産を非課税で移転することができます。父母または祖父母が生きている間に相続税の非課税枠を前倒しすることにより、熟年世代から現役世代への財産移転を円滑化し、消費意欲を喚起して経済再生を促進すことを目的としています。
相続税精算課税制度のあらましは以下の通りです。
- 1月1日現在60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫への贈与であること。
- 人生の間に何回かに分けて、子または孫一人当たり合計2500万円までの財産移転の贈与税を非課税とする。受贈者それぞれが別個の制度の選択を行う
- 現金、不動産、証券、財産の所在国など、どのような種類の財産でもかまわない。
- 非課税枠を超えた贈与に対しては一律20%で贈与税が課される。
- 贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産に当制度を適用した贈与財産を加えて相続税を計算し、既に支払った贈与税は相続税から控除される。控除しきれない過払額は還付される。(686)
死因贈与
- At January 08, 2018
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「死因贈与」は、贈与者(財産を与える人)と受贈者(財産を受け取る人)との間であらかじめ取り決められていた契約を、亡くなった時点で履行することにより成立させるものです。通常、日本では贈与には贈与税が課されますが、死を原因とする贈与契約である「死因贈与」は、遺産と同様に考えられるため、相続税が課されます。すなわち、「相続」や「遺贈」ばかりでなく、「死因贈与」によって故人の遺産を受け取った時にも相続税がかかるのです。
「遺贈」は、遺言者の一方的な意志によるものであるため、気が変われば遺言書を書き変えて遺産の譲り渡しを取り止めることもできます。一方、「死因贈与」の場合は、受贈者との契約であるため、勝手に契約を破棄することはできません。いずれにしても、「遺贈」も「死因贈与」も、人が死亡することによって財産を得るため、基本的には相続と同等の扱いを受け、相続税が課されるのです。
「死因贈与」によって財産を取得した個人(受贈者)は、取得財産を課税標準として計算した相続税を納付します。(654)